大相撲の力士が他の部屋へ出稽古に出かける目的
大相撲の力士の屈強な身体が地道な稽古の賜物であることは、大相撲ファンでなくてもわかることでしょう。
1日に行われる稽古は四股や股割り、鉄砲、すり足といった基礎的なものから、ぶつかり稽古や申し合いなどといった実践的なものまで様々で、力士によってはウエイトトレーニングなどの科学的な手法も試みています。この稽古は普段は同じ部屋の者が集まって行いますが、時には他の部屋に出向くことがあります。
これが出稽古と呼ばれるものです。
出稽古の目的はもちろん、より実力をつけるためです。
同じ部屋の者同士での稽古を繰り返すと次第に相手の手の内がわかるようになってしまい、稽古の効果が薄れていきます。しかし、相撲のスタイルや考え方が異なる者と稽古をすることで新たな発見ができる場合は多く、自分自身に合う形で稽古に取り入れることができれば実力がより高まります。
所属力士が少ない小規模な相撲部屋では出稽古を積極的に取り入れているところが多いです。
また、本場所で負けた相手や苦手としている力士を研究する目的で出稽古が利用されることもあります。本場所の取組をおさめた映像を見て研究するだけでなく、自ら出向いて肌を合わせることで、相手の出方や弱点などを覚えて次回対戦するときに活かします。
過去の名力士の中にはこうした目的で出稽古を積極的に行い、それまで苦手だった力士を逆に得意にしてしまったケースも少なくないようです。